Fake Actor 8

 

時は西暦2015年。

ここに男女8人のグループがいる。

彼らは普段はオリジナルで作った演劇を楽しむサークル仲間だが、

ある緊急事態が起こると彼らは独自に手に入れた情報を頼りに様々な難問題を解決するアマチュア探偵団という顔も持っている。

しかし、彼らには重大な欠点があった。

それは8人のひとりひとりが自己主張が激しい者ばかりで緊急事態が起きた時も個別で調査や勝手に捜査を始める上に

演劇サークルでの経験を利用して普段とは違ったキャラクターをターゲットに向け、一言で言えば「暴虐無尽なほら吹き集団」と呼ばれている。

それでも、解決する事件は多く彼らは満足していた。

 

ある日、一つの事件が舞い込む。それは絶大な人気を誇るアイドルの浪夜花梨菜(なみやかりな)が突然失踪したというのだった。

すぐに8人組の一人、雨家裕介(あまやゆうすけ)が調査を始めた。

普段アイドルには疎い裕介だが、情報収集のためには様々な手段を駆使し調べた。

すると、裕介が何か調べてるのを察したのか鈴井尚輝がやってきた。

鈴井尚輝(すずいなおき)。祐介の小学校からの腐れ縁。

大阪ミナミ育ちだけにバリバリ関西弁を会話に繰り出してくる祐介にとってはちょっと迷惑な存在。

そんな尚輝が今日は意外に神妙な表情で祐介に近づいてきた。

「裕介、今何探しとんねんな。」

「ああ、昨日失踪した浪夜花梨菜の情報を集めてるんだよ。」

尚輝は聞いて思い出したように、祐介に話した。

「ああ、アイツは前から怪しいことが頻発しとったからな。」

「何か怪しい動きがあったのか?」

「そうや。唐突やけど祐介は11年前の幼女誘拐殺人事件を覚えとるか?」

「11年前・・・?」

「何や、忘れたんかいな。」

11年前、祐介が住んでいた街で幼女誘拐殺人事件が起こった。

犯人はドが付くほどのロリコンで幼女を拉致していかがわしい行為にしようとしたが幼女が抵抗したため、犯人は幼女を殺した。

この事件が街中に知れ渡る中、祐介はニュースを見る機会などは無かった。

何故かと言えば両親が根っからのテレビ嫌いで実家にはテレビはもちろんパソコンや新聞も無く、同級生の尚樹との会話でようやく情報を得ていた。

そして祐介が独り暮らしになってやっとパソコンやテレビを買えるようになった。

「その犯人がどうかしたのか?」

「7年前に刑務所を脱走したねん。」

「脱走?それがどうしたんだ?」

「そいつが浪夜花梨菜を誘拐した可能性があるらしいねん。」

「誘拐って・・・、普段はSPが付き添ってるぞ。」

尚輝はため息をして祐介にこれまでのいきさつを改めて説明した。

「2日前に花梨菜を目撃した人がおったんやけど、そのSPが問題の犯人らしいねん。」

「ん?それ何処で誰が知ったんだよ?」

「なばあんや。生天目杏奈。」

「え?なばあんが?」

生天目杏奈。生粋のお笑い好きで誰でも面白い方向へ引きずり込もうとする尚樹と同じ迷惑な存在でもある。

「なばあんがその犯人の情報を知っているのか?」

「せや、アイツが2日前にミナミで花梨菜とを見かけて彼女にサインを求めたんやけど、

SPらしき男が不気味にガードしてきてなばあんが離れたらそいつがベタベタくっつけて来よってたのを見たらしいねん。」

「何かとくっついてたのには捜査する甲斐がありそうだな。」

「せやな。」

「おーい!ゆーちはいるのかー!」

大音量の声と共に部屋のノックが鳴り響く。

「はぁ〜。来よったか、ナホ姉が。」

「ナホ姉が来たからには余計ややこしい事を引き起こすのは間違いないな。」

ナホ姉こと杉浦菜穂美(すぎうらなほみ)は、

普段はグラビアアイドルだが本職は一流ハッカーである上に

アイドルの時のロリロリ路線とハッカー時ぶっきらぼうなの性格の分け方はまさに演技派なキャラクターである。

「ゆーちはいるんか、ゴルァ!」

「うひゃあ、ナホ姉が爆発寸前やわ。」

「この際、俺が出るよ。」

「ええんか?出た時点で悲惨な目に遭うのは必至やで!」

「この際、どうなっていいさ。」

「ええな〜、祐介はポジティブで。」

尚樹の少し呆れた表情を見つつ、祐介は玄関のドアの前に立った。

「ナホ姉!俺はいるぞ!」

「おっ、ゆーち!いると思ったよ〜。中にはいるぞ〜!」

「アカン!唐突でスマンけど、ナホ姉は俺の元カノやっ!」

「え・・・?」

祐介が呆然としたと同時にナホ姉が勢いに任せて入り込んできた。

「先・に・言・え・よ・・・。」

 

つづく...

 

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